親の終活準備はどうする?切り出し方や聞いておくこと
- kaori34
- 8月24日
- 読了時間: 14分
元気なうちに終活を始めると、本人の意思が反映できるうえに、相続がスムーズになりますが、実際に始めている人は意外と少ないものです。
親御さんの終活を進めるために、切り出し方や聞いておくことなど家族ができることを紹介します。

目次
1.相続でもめやすい家庭とは
2.親の終活を手伝うメリット
3.家族が準備すること・注意すること
4.親に終活を切り出す方法
5.まとめ
1.相続でもめやすい家庭とは
(1)相続でもめやすい家庭の特徴
相続とは、亡くなった人の財産などの権利や義務を遺された家族が引き継ぐことです。

この相続でトラブルとなって、裁判所に持ち込まれるケースが年々増えてきています。
相続トラブルというと、「お金持ちの話でうちは関係ないよ」と思われがちですが、財産が多いケースばかりではありません。

裁判所が関係した事件のうち、約35%が相続財産1,000万円以下、約42%が5,000万円以下。
合計すると、5,000万円以下が全体の約78%も占めています。
遺産の多さだけが原因ではないということが分かります。
遺産が少ないケースの方が、相続分について敏感になったり、第三者の介入が少ないためお互いの主張が衝突しやすいのかも知れません。
相続でもめやすい家庭には、遺産額の他にも、共通したある特徴があります。
おもな点を取り上げると、7つあります。
①兄弟姉妹や相続人同士の仲が悪い
②財産のほとんどが不動産(特に実家のみ)
③特定の人が親の面倒(介護)をみている
④特定の人に生前贈与(資金援助)をしている
⑤家庭環境が複雑
⑥事業をしている
⑦遺言書の内容が不公平
当てはまる家庭が、すべてトラブルになるという事はありませんが、「終活」を考えてみてもいいかも知れません。
(2)終活とは
最近は、「〇〇活」という言葉が増えてきてますよね。
就職活動の「就活」、金銭的な備えをする「マネ活」、自分の好きなアイドルなどを応援する「推し活」というものもあります。
「終活」もその一つです。
「終活」とは、人生の最後に向けた活動全般のことを言います。
具体的には、「財産の管理」の他、「身の回りの整理」や「葬儀やお墓のこと」、「医療・介護についての備え」などがあります。
セミナーをしていると、参加者の方のなかには、「終」という漢字が入っているため、抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
しかし、終活をすることで家族のため、そして、自分の人生を見つめなおして充実させるという効果もあります。
先ほどお話した、相続トラブルを避けるおもな対策は、
①相続人同士が、互いの家庭の事情を理解しておく
②お墓や債務などのマイナス財産から分割しておく
③遺言書やエンディングノートなどで、自分の想いをカタチにしておく
などがあります。
この点を意識して、終活に取り入れていれば、「相続トラブルのリスク」や、「突然の入院」や「突然の葬儀」で家族が混乱するのを避けられるかも知れません。
2.親の終活を手伝うメリット
終活は、一人でも取り組めますが、親の終活を子どもがサポートすることで、よりスムーズに進められるだけでなく、親子の関係を深める良い機会にもなります。
具体的なメリットは、大きく5つあります。
(1)遺品整理の負担が軽くなる
親の死後、おそらく最も大変な作業は遺品の整理ではないでしょうか。
遺品の中には、親が大切にしていたものがあるかもしれません。
要・不要の分別や大型家具の片付けなどは、精神的にも体力的にも大きな負担となります。
実家が遠方、あるいは仕事をしている場合は、その負担はさらに増します。
事前に整理しておけば、不要なものが減ることで部屋が広くなり、躓いて転倒するリスクが少なくなります。
親にとっても、メリットがあります。
(2)親の意思を尊重できる
もし終活をしないまま、親が亡くなったり、認知症で判断力が低下してしまった場合、医療や介護、葬儀に関する本人の希望を聞くことができなくなってしまいます。
たとえば、「介護が必要になったときはどのような施設やサービスがいいのか」「葬儀やお墓に関する希望はあるのか」など。
(3)親の財産を把握できる
子どもが親の終活に関わることで、親が保有している財産の全体像を把握することができます。
預貯金や株式、保険、不動産など、。
また、親の判断力が低下したり、体調を崩したときにも、冷静に迅速な対応ができるようになります。
(4)家族間のトラブルを防止できる
財産分与や相続に関して、あらかじめ決めておけば、家族間の不信感や衝突を避けられ、後々のトラブルを防止できます。
(5)親子の関係が深まる
親と一緒に終活の準備を進めることで、体力の必要な作業は子どもが手伝うことができます。
古い手紙や写真などは、特に処分に悩む品々です。
ですが、一緒に整理しながら思い出話をするのは、親子の関係をより深める良い機会にもなります。
会話も増え、お互いの価値観や想いを理解し合うことができます。
3.家族が準備すること・注意すること
親の終活をスムーズに進めるためには、子どもがどのようにサポートするかが重要になってきます。
親だけでは負担の大きい作業も多くあるため、家族の協力が得られれば安心して終活に取り組みやすくなるでしょう。
そのために、前もって「家族が準備しておくこと」「親に確認しておくこと」「親の終活で注意すること」を確認しておきましょう。
(1)家族が準備しておくこと
事前に家族が準備しておくことは、大きく3つあります。
①いざというときのサポート体制
遠方に住んでいる親に何かあって、すぐに駆けつけるのは難しいでしょう。
そんなとき、事前にサポート体制を整えておけば、近くに住んでいる人に支えてもらうことができます。
近所の人や、近くに住んでいる兄弟姉妹、他の親戚と相談しておきましょう。
もし、身近に頼れる人がいない場合は「地域包括支援センター」「ホームヘルパー」などの公的な支援サービスの利用も検討してみましょう。
また、最近は民間の支援サービスもさまざまなものが増えてきました。
公的なサービスで賄えないことがあれば、探しておいてもいいかも知れません。
②必要な作業のリストアップ
ただ、「終活をしてほしい」とお願いしても、言われた側からすれば何をすればいいのか困る方も多いでしょう。
「何から始めたらいいのか」「どんな手続きが必要か」。
必要な作業のリストアップしておくことで、親御さんが迷わず終活することができます。
エンディングノートを渡してあげるのも、方法の1つです。
③財産管理を行う準備
もし、病気などで親の判断能力が低下した場合、不動産の管理や銀行口座からの出金ができなくなります。
そうなると、家賃や介護費用などの支払の不安がでてきます。
こうした事態に備えて、金融機関に「代理人届」を提出しておくという方法があります。
金融機関によっては、「代理人指名手続き」など名称が異なるかも知れません。
この届出をしておけば、預金者本人が窓口やATMに行けなくても、代理人が手続きできます。
詳しい内容については、取引している金融機関に確認しておきましょう。
また、認知症や障害の場合に備えて、家庭裁判所へ「任意後見契約」を申し立てる方法もあります。
自分が選んだ人に、財産管理や契約手続きを任せることができます。
(2)親に確認しておくこと
親に確認しておくことは、大きく5つあります。
①資産状況(デジタルデータ)
資産状況を確認することで、保有資産の全体像が把握することができます。
ネット取引やSNS、サブスクやその他の会員などを利用している場合は、アカウントやパスワードのようなデジタルデータも書き出してもらっておきましょう。
一覧表を作成しておくと、情報整理できます。
相続や介護費用に関する準備がしやすくなるでしょう。
②医療・介護の希望
医療や介護に関する希望を聞いておくと、いざという時、本人の希望に沿って、落ち着いた対応ができます。
高齢になるほど、介護や病気、認知症になるリスクが高まります。
いざ、そうなってしまった場合、本人の意思確認は難しく、家族が判断に迷ってしまうことがあります。
たとえば、介護が必要になった時、介護体制や介護施設についての希望はあるか。
病気で延命治療が必要になったとき、望むかどうかなどです。
どんな介護施設があるのか、在宅介護ではどんな公的サービスが受けられるのかなどを調べてみてもいいでしょう。
③葬儀・お墓の希望
葬儀・お墓の希望を聞いておくと、本人の意思を尊重したお見送りができます。
最近の葬儀やお墓のスタイルは、以前に比べるとかなり多様化しています。
葬儀は家族葬のような小規模なものがいいのか、お墓は持つのか、それとも納骨堂や散骨、樹木葬のように、お墓を持たないのかなど。
希望があれば、費用や段取りなどを一緒に調べてもいいでしょう。
④友人・親族の連絡先
友人・親族の連絡先を聞いておくと、急な知らせが必要なときに役立ちます。
特に一緒に住んでいない場合、親御さんの知り合いの名前や顔は思い出すものの、連絡先までは分かりにくいものです。
以前は、年賀状などの郵便物である程度確認することもできましたが、最近は「年賀状じまい」や郵便物の電子化が進んでいるため送り主の住所などの確認も難しくなってきています。
親御さんに何かあったとき、まず誰に連絡すればいいか、相談することがあれば誰なのか。
親御さんと一緒に、リストを作っておくといいでしょう。
⑤遺言書を作成しているか
遺言書を作成しているかどうかを聞いておくと、終活をサポートする内容を決めやすくなります。
遺言書を作成していれば、財産以外のことに重点を置いた方がいいでしょう。
ただし、遺言書は、自分で作成した場合、書式不備で無効になることも少なくないため、不備がないか一緒に確認してもいいかもしれません。
遺言書を作成していなければ、エンディングノートの作成を含む終活全般のサポートが必要になります。
(3)親の終活で注意すること
親の主活で注意することは、大きく5つあります。
①親が元気なうちから始める
終活は、親が元気なうちに始めないと、進めるのが難しくなります。
終活には、体力や行動力は勿論のこと、判断力も必要になります。
高齢になって、病気や介護で体が不自由になってしまってからでは、その分、本人も家族も負担が大きくなります。
特に、在宅介護になれば、目が離せないことも多く、家族の行動にも制限がでてきます。
「まだ早い」「そのうち」と思わず、思い立ったときに、取り掛かった方がいいでしょう。
②無理強いはしない
親に、終活を無理強いしてはいけません。
親が嫌がる場合は、焦らず時間をかけて、ゆっくりと話し合いを進めることが大切です。
親の気持ちを尊重し、自然に終活を始めやすい環境を整えることに専念しましょう。
③他の兄弟にも相談しておく
他の兄弟にも相談しておくと、あとから出てくる兄弟の不満やトラブルを回避しやすくなります。
もし、自分だけで親の終活を進めてしまうと、他の兄弟から「聞いていない」「勝手に決めた」などの不満が出やすくなります。
こういった事態を避けるためにも、情報は共有することを心がけましょう。
④子ども側が感情的にならない
親子とは言え、年齢が離れているため、価値観やスピード感の違いから子ども側がイライラして感情的になる場合があります。
でも、感情的になってしまっては、親を不安にさせたり、終活自体を面倒に思わせてしまいます。
意見や考えが合わない時は、まずは親の意思を尊重して冷静に会話をしていきましょう。
⑤不適切なサービスに気を付ける
最近は、終活をサポートしてくれる業者が増えてきました。
ですが、なかには、高額請求をしてきたり、必要以上に不安を煽ったりするような悪質な業者もいます。
公的機関が紹介するサービスから選んだり、ネットで口コミを調べてみてもいいでしょう。
また、業者との打ち合わせは、家族も同席したり、話し合いをするなどの対策をした方がいいでしょう。
4.親に終活を切り出す方法
終活の話を良かれと思ってしたのに、かえって怒らせてしまったという話は、よく聞きます。

終活をしていない理由は、「まだ早い」「元気だから」「面倒」「死を考えるのが嫌」などが多くあります。
また、終活の話をして怒るのは、「邪魔者扱いされている」と感じるようです。
そんなときは、いきなり終活の話をするのではなく、まず親を気遣う言葉をかけてあげてください。
例えば、
・最近の体調はどうなのか、健康診断は受けているのか。
・このまま、ここに住み続けるのか、そろそろ一緒に暮らさないか
・老後資金は十分なのか
その後、終活の話を切り出してみましょう。
切り出すときのポイントは、大きく5つあります。
(1)自分から終活を始める
自分が先に、終活を取り組んでいることを伝えると、自然と親に関心を持ってもらう効果があります。
エンディングノートの書き方や、身の回りの整頓など、自分が困ったことや工夫したことなどの体験談を具体的に伝えることができます。
例えば、こう切り出してみてはいかがでしょうか。
「終活で身の回りを整頓したら、部屋が広くなって躓くことがなくなった」
「捨てようと思っていたものが、リサイクルショップで意外と高い値段で売れた」
「パスワードを書き出していたら、使ってないサブスクや会費を見つけて、けっこう節約できた」
「100均にも、エンディングノートみたいなノートがあって、簡単に書けたよ」
(2)知人や有名人の話をする
友人や親せきなどの身近な人や、親御さんが知っている有名人が終活を始めたという話をすれば、関心を持ちやすくなります。
例えば、こう切り出してみてはいかがでしょうか。
「お母さんの好きな俳優さんが、終活始めたらしいよ」
「会社の上司が、息子さんと一緒に終活始めたら前より会話が弾んでいるって言ってたよ」
(3)物・広告の話をする
終活を意識し始めると、終活に関係した広告に気づきやすくなります。
公共交通機関やビルの立て看板など、意外とあることに気づきます。
また、テレビや雑誌などで「終活」の特集をしていれば、それだけ多くの人が関心をもっているという事になります。
そういったものを見たタイミングで、切り出してみるのも効果的かもしれません。
例えば、こう切り出してみてはいかがでしょうか。
「(テレビをみて)こんな終活のやり方もあるんだね」
「(介護施設のCMを見て)自分の好みの介護施設が検索できるんだって」
「この納骨堂、けっこうウチの近くだね」
(4)問題の必要性を伝える
人が亡くなった後の手続きや遺品整理など、大変だったと苦労話をして、「準備した方がいいのかな」と必要性を感じてもらいましょう。
例えば、こう切り出してみてはいかがでしょう。
「近所の〇〇さんの家、遺品整理を業者に頼んだらトラック何台分にもなってかなり費用がかかったらしいよ」
「もし認知症になったら、お金が引出せなくて生活費に困ることがあるらしいよ」
(5)専門家や第三者に依頼する
家族の言葉には聞く耳を持たなくても、専門家や第三者の言葉には、耳を傾けるかもしれません。
家族だけでは解決しない悩みも、解決できる場合があります。
また、専門家が講師をしている相続や終活の無料セミナーに一緒に参加してみるのもいいかもしれません。
例えば、こう切り出してみてはいかがでしょう。
「友だちの〇〇さんの家は、遺言書の作成を行政書士の先生にお願いして助かったんだって」
「今度、〇〇会場で税理士の先生が講演する相続セミナーがあるから一緒に行かない?」
5.まとめ
生前に、希望や想いを遺す方法で代表的なのは、「エンディングノート」や「遺言書」でしょう。

こういったものに書き留め、家族と共有することが重要です。
法定効力はありませんが、まずは、エンディングノートから始めるという方もいらっしゃいます。
終活をするメリットは理解しているものの、なかなか取り組めない方も多いでしょう。
また、日常で話題にしづらいデリケートな内容が多いため、子どもから切りだしにくいというお話もよくお聞きします。
先ほどの例のように切り出しても、嫌がられるかも知れません。
そんな時は、親御さんに無理強いすることなく終活を促しましょう。
親子で取り組むことで、終活がスムーズに進むだけでなく、より家族の絆が深まるのではないでしょうか。
#終活 #相続 #親 #切り出し方
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