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40・50代から始めるリスキリング

最近、ニュースで話題の「リスキリング(学び直し)」。

10月3日の第210臨時国会にて、岸田文雄首相が個人のリスキリング(学び直し)の支援に5年で1兆円を投じると表明したことで、さらに注目されています。

今回は、この「リスキリング(学び直し)」の内容と、わたしたちの生活への影響について、お伝えします。

1.リスキリング(学び直し)とは?


リスキリング(Re-skilling)とは、新しい職業あるいは、現在の職業で必要とされるスキルや技術を習得することです。

需要の多い産業に移って新たな職に就いたり、職場でより高い成果をあげたりするのが目的です。


世界経済フォーラム(WEF)が2020年の年次総会(ダボス会議)にて、「30年までに全世界の10億人をリスキリングする」と宣言したことで注目が高まりました。


2.「リカレント教育」との違い


リスキリングと類似したものに「リカレント教育」という言葉があります。


リカレント教育とは、社会人が学校教育からいったん離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくことです。

リカレント(recurrent)は、反復を意味し、日本語では「回帰教育」「循環教育」などと表現されています。

1970年代に、経済協力開発機構(OECD)が提唱した教育概念です。


リスキリングとの大きな違いは、主導するのが誰かということです。

本人が主導して学び直す「リカレント教育」に対し、「リスキリング」は会社が主導して従業員に新しいスキルを習得してもらいます。


3.重要視されている理由


政府は、企業の休業手当を支援する雇用調整助成金の特例措置を2023年1月末に終了する調整に入りました。

今後は、人材の成長分野への移動やリスキリング(学び直し)に重点を移す意向です。

理由は、いくつか考えられます。


(1)リスキリングの世界的な遅れ

経済協力開発機構(OECD)の成人学習に関する調査では、「柔軟性」は加盟国平均0.45に対し日本は0.1。他の「整合性」「学習範囲」の項目でも、加盟国平均より大きく下回っています。

これは、日本ではキャリアアップのための再教育機会が少なく、成長分野へ人材が流出しにくい状態を表しています。


岸田総理は、リスキリング(学び直し)や転職・副業の促進によって、労働市場の人の流動性を高め個人がスキルアップすることで、結果的に企業業績と賃金アップにつながると考えています。


(2)DX(デジタルトランスフォーメーション)の本格化

企業が業務効率化のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)を本格的に進めた結果、専門人材の争奪が激しくなりました。

中途採用での確保には限界があるため、解決手段として既存の社員を再教育するリスキリングの流れが強まっています。


(3)コロナ禍による働き方の変化

働き方は、コロナ禍の影響によって、大きく変化しました。

今まで対面でおこなってきた活動をオンラインでこなすために、新たな知識が必要となったことからリスキリングが注目されました。


4.企業の導入事例


近年は、リスキリングやリカレント教育を導入する企業も増えてきました。

いくつか例を挙げてみましょう。


(1)リスキリングの事例


①日立製作所

DX推進に関するスキル学習のプログラムをグループ企業の日立アカデミーと開発し、人材育成に役立てる。


②大阪ガス

2011年から、全従業員向けにデータ分析力を高める講習を開始。


③あおぞら銀行

2021年4月から、グループ会社を含む2,000人の全従業員に向けてDX教育を開始。


(2)リカレント教育の事例


①ソニー

専門的な知識を習得する場合は最長2年までの休職と大学費用の一部を負担、配偶者の海外赴任や同行する場合は最長5年まで休職できる「フレキシブルキャリア休職制度」を導入。


②ヤフー

専門知識を習得する場合、勤続3年以上の正社員は最長2年まで休職できる「勉学休職制度」を設定。


③サイボウズ

自己研鑽のためにチャレンジする場合、最長6年間休職できる「育自分休暇制度」を2012年から開始。



総務省の労働力調査によると、コロナ前の2019年は転職者数が350万人を突破して過去最高を記録しました。

人手不足に悩むIT(情報技術)業界は、積極的に中途採用に動いており、転職者の中心は25~44歳という統計があります。


資格を選ぶポイントは、「興味」「難易度」「実用性」です。

あとは、取得にかかる費用がどれくらいかも勘案しながら、ご自身に合った資格を選んでいきましょう。

最近は、40代・50代で起業する方も増えてきていますので、将来独立を視野に入れて取得するのもいいですね。


(1)採用の需要が高い資格


①宅地建物取引士

不動産取引の専門家。就職は、不動産仲介会社や不動産管理会社など。

②介護福祉士

介護の専門家。介護に関する支援や指導をおこなう。就職は、介護施設など。

③マンション管理士

マンションの管理組合に対し、さまざまなアドバイスやサポートをおこなう。就職は、不動産管理会社など。

特に男性に人気の資格、


(2)汎用性が高い資格


①TOEIC

英語能力テスト。転職時には800点以上で評価する企業も多い。

②日商簿記検定

経理部門で有力なスキル。1級で高評価される。


(3)キャリアとのセットが有効な資格


①社会保険労務士

人事労務部門で強み。社会保険などの書類作成や申請手続きをおこなう。

②中小企業診断士

経営コンサルタントとして、中小企業に経営アドバイスをおこなう。

③キャリアコンサルタント

キャリアコンサルティングの専門家。従業員のキャリア形成支援などをおこなう。

④ファイナンシャルプランナー

ライフプランに必要なお金に関する専門家。金融機関への転職に有効。


(4)専門的な資格


・情報処理安全確保支援士

高度IT人材として強み。サイバーセキュリティーの専門資格。


6.国の給付は3種類


厚生労働省、経済産業省、文部科学省等が連携して、相談や費用支援に取り組んでいます。

雇用保険に加入していれば一定の条件で受給できます。

対象は約14,000講座もあり、資格学校や専門学校、大学、大学院などの指定講座を修了後、ハローワークに申請して給付を受け取る仕組みです。

学習予定の資格講座が対象かどうかは、厚生労働省のサイトで検索できます。


(1)一般教育訓練給付

支給額は、受講費用の20%(上限10万円)。

対象講座は、TOEIC、簿記検定、中小企業診断士など。


(2)特定一般教育訓練給付

支給額は、費用の40%(上限20万円)。

対象講座は、社会保険労務士、税理士、IT資格など。


(3)専門実践教育訓練給付

支給額は、費用の50%~70%(年間上限40万円~56万円、最長4年)。

対象講座は、キャリアコンサルタント、高度IT資格、専門職の大学院学費など。


7.まとめ


リスキリングは、デジタル社会において仕事を失った人への受皿だけでなく、生産性の向上や成長分野への労働移動促進による持続的な賃上げにつながる効果が見込めます。

今後は、さらに活発化していくと考えられます。


対象講座であれば、教育訓練給付が受け取れます。

契約社員やパートなどの非正規雇用でも、要件を満たせば対象になり、家計の負担を抑える大きなメリットになります。


資格取得は転職に有効なだけでなく、今の仕事の幅を広げ副業として活かすこともできます。

何より、新しいことにチャレンジすることは自信にもつながります。

ご自身のライフプランにあった資格を見つけてみましょう。



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