円安に負けない資産運用

3月初めに対米ドルで114円台だった円は、3月28日に125円10銭まで急落し、6年7カ月ぶりの円安となりました。

ユーロやポンドなどの主要通貨に対しても独歩安となっています。

さらなる円安を見込む声があるなか、わたしたちの生活や投資環境にどのような影響があるのでしょうか。

そもそも円安とは?


円安とは、他の国の通貨に対して円の価値が低下することです。

最も代表的なものが米ドル・円レートで、1ドル=100円という形で表します。

「円」の金額が1ドル=100円から1ドル=110円のように、比較時点より高くなることを円安といいます。

この場合、100円で購入できていた1ドルが10円増しの110円でないと購入できなくなるのですから、円の価値が低下したと言えるでしょう。

これとは反対に1ドル=90円のように低くなることを円高といいます。


かつて日本円は「固定相場制」(1ドル=360円)でしたが、1973年に「変動相場制」に移行したため、経済成長率やインフレ率などの経済情勢に応じて、そのつど変動するようになりました。

「為替レート」は、他国通貨と円の交換比率を示し、日々刻々と変化します。


円安が加速している理由は?


①日米金利差の拡大


資源高にともなうインフレにより、3月に0.25%の利上げを実施したアメリカのFRB(米連邦準備理事会)をはじめ、世界の中央銀行が利上げに動いています。

これに対し日銀は、10年物国債の利回りが上限0.25%を超えないように無制限に買い入れる連続指し値オペ(公開市場操作)を初めて実施すると発表しました。

日米の金融政策の方向性の違いをきっかけに、円安は加速しました。


②膨らむ貿易赤字


財務省が3月16日に発表した2月の貿易統計は、貿易収支が6,683億円の赤字となり、市場予想1,500億円を大幅に上回りました。

輸出は前年同月比+19.1%と市場予想+20.9%に並んだものの、輸入は+34%とさらに加速し、貿易赤字を拡大させました。

コロナ禍による半導体不足の影響から輸出が低迷しているため、円安になっても輸出企業の収益は期待しにくい状況です。

輸出が伸びなければ貿易赤字の縮小は見込みづらく、円売り(=円安)は今後も続く可能性があります。


円安の影響


円安が起こると、それにともなって起きやすいのが「インフレ」です。

インフレは「インフレーション」の略称で、モノやサービスの値段が継続的に上がっていくことです。

海外からの輸入が多い日本の場合、円安になると日本円の価値が下がるため、輸入品価格が上昇します。

また、価値が下がる日本円を現物資産に変えようという動きが出てきます。

円安もインフレも、日本円の価値が下がるという点が共通しています。


メリット

1.投資している海外資産の価値が上昇

2.海外で日本製品が販売好調となり、輸出企業の業績が伸びる

3.輸入企業の業績が伸びやすい

先述したとおり、最近の原材料価格の上昇や半導体不足による生産低迷は、円安デメリットになる可能性あり


◆デメリット

1.エネルギーや食料品などの輸入価格の上昇

2.海外から資材を購入している輸入企業の業績悪化

3.ガソリンなどの価格上昇による消費者の購買力低下


円安から資産を守る方法


1年前と比較してドル円は25%くらいの円安となっており、インフレと同じように通貨の価値が下がっています。

円資産のみ保有している場合は、何もしていないのに勝手に25%くらい目減りしていることになります。

対策として、円資産だけを保有するのではなく海外資産も保有、現金を実物資産や商品に変えるなどの方法があります。


①海外資産の購入


海外資産(外貨建て)は為替変動の影響を受けるため、動向によっては円資産より有利になる可能性があります。

円資産に加えて保有することで、リスク回避になります。


◆商品例

・外貨預金

例えば、現在1ドル=100円が1年後に1ドル=110円と10%円安となり、その影響で物価が5%上がった場合。

100万円を円預金と米ドル預金に50万円ずつ預入れると、1年後に105万円となるため、物価上昇を補うことができます。

・外国債券

・外国株式

・外国株式や外国債券を投資対象とする投資信託

S&P500などの指数に連動した投資信託(ETF)を毎月積み立てる。


②実物資産の購入


実物資産を直接購入するのもいいですが、インフレによって既に価格が上昇しています。

それぞれの資産の値動きに連動しやすい投信を毎月積み立てる方法もあります。

一度にまとめて購入するのはかえってリスクが高くなるため、積み立てや長期運用でリスクを軽減しましょう。


◆商品例

・不動産

・金地金

・REIT(不動産投信)の積立

・金のETFの積立


まとめ


世界的に金融引き締めが広がるなかで、日銀は緩和継続姿勢を維持し、さらなる円安を見込む声も広がりつつあります。

円安は輸入額を膨らませ経常収支がさらに悪化しかねません。

今年に入ってから値上がりしている日用品価格がさらに上昇する可能性もあります。

日本円の価値が下がる円安への対策として、海外資産や実物資産の購入は主な投資方法です。

ただし、すでに値上がりしている場合も多いため、一度にまとめて購入するよりも積み立てや長期運用でリスクを軽減するのが無難な方法でしょう。


※実際の投資は、ご自身の判断でお願いします。