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猛暑に備える節電術

政府は6月21日、「節電を実施した家庭にポイントを付与する新制度」をつくると表明しました。

電力会社各社の還元制度に加えて、国が資金を出し実質的に電気代負担を軽減する仕組みを設けることになります。

官民で協力し夏と冬の厳しい電力需給の改善にもつなげる意向のようです。

安定供給に不安?2022年度の電力予備率


電力予備率とは、ピーク時の需要に対して供給力がどれだけ余裕があるかを示すものです。

安定供給には最低3%必要ですが、発電所のトラブルや気温の変化などの特殊な事態を想定すると7~8%が望ましいと言われています。

10年に1度の厳しい暑さや寒さを想定した場合、2022年度夏季は全エリアで3%を確保できますが、冬季は7エリアで3%を下回っており2012年度以降で最も厳しい見通しとなっています。


◆2022年度夏季(7月)の見通し

・北海道:21.4%

・東北、東京、中部:3.1%

・北陸、関西、中国、四国、九州:3.8%

・沖縄:28.2%


◆2022年度冬季(1月)の見通し

・北海道:6.0%

・東北:3.2%

東京:▲0.6%

中部、北陸、関西、中国、四国、九州:1.3%

・沖縄:39.1%


参照元:経済産業省資源エネルギー庁「2022年度の電力需給見通しと対策について」


電気料金の値上げ


大手電力10社の電気料金は、燃料価格の高騰などを背景に、この1年で約10%~30%値上がりしています。

最近では、契約を大手電力会社以外の「新電力」に切り替える家庭や企業も増えています。


◆2022年7月分の電気料金

・北海道電力8,763円(+1,212円)

・東北電力  8,565円(+1,322円)

・東京電力  8,871円(+1,898円)

・中部電力  8,516円(+1,870円)

・北陸電力  7,211円(+ 526円)

・関西電力  7,497円(+ 752円)

・中国電力  8,029円(+1,103円)

・四国電力  7,915円(+ 906円)

・九州電力  7,271円(+ 782円)

・沖縄電力  8,847円(+1,379円)

※使用量が平均的な家庭( )内は前年同月比


各社のデマンドレスポンス(還元制度)


「デマンドレスポンス(DR)」とは、ピーク時など電力の需要が多い場合に、電力会社などの要請に応じて電力消費を減らし、対価を受け取るサービスのことです。

一例をご紹介します。


1.ソフトバンクでんき

(実施期間:2020年7月~)

ユーザー専用アプリ「エコ電気アプリ」で、月に2~4回程度の節電チャレンジが開催され、参加して節電が成功すると報酬としてポイントがもらえます。貯まったポイントはPayPayポイントに交換できます。

※チャレンジ内容は使用状況などによって各家庭で異なります。


2.東京電力

「夏の節電チャレンジ2022」(申込期間:6月8日~8月30日、実施期間:7月1日~9月30日)

節電量1kWhあたり5ポイント、節電量0.01kWh以上を達成した場合、初回成功特典として100ポイントが付与されます。

貯まったポイントは、Tポイント、Ponta、WAON、nanaco、Amazonなどに交換できます。

スマートメーターの設置が必要です。


猛暑に備える節電術


1.エアコン

(1)温度設定は、夏28℃、冬20℃を目安にする

(2)風向きは、冷房は上向き、暖房は下向きにする

(3)風量設定は自動にする(微風からの運転は設定温度に到達するまで時間がかかる)

(4)時々送風に切り替える(送風はエアコンで最も電気代がかからないモード)

(5)扇風機やサーキュレーターを併用する

(6)室内外の気温差が激しい時の外出は、30分程度であれば電源を切らない

(7)帰宅後は、まず喚起して熱気を逃がしてから使用する

(8)室外機は直射日光を避け、周りに物を置かない

(9)フィルターは2週間に1回を目途に掃除(1年掃除しないと電気代が約25%増加)


2.冷蔵庫

(1)食品は、冷蔵室は詰め込まず、冷凍室は隙間なく詰め込む(年間約1,100円の節約)

(2)熱いものはいったん冷まして保存する

(3)取り出しに時間がかかる冷蔵室カーテンはつけない方が良い場合もある

(4)庫内の設定温度は「中」や「弱」など控えめにする(年間約1,600円の節約)

   ※食品の傷みに注意しながら調整

(5)ドアの開閉はムダなくすばやく(半分に減らすと回数で約12%、時間で約5%節約)

(6)冷蔵庫の背面や底面にある放熱部分のホコリを取る

(7)設置は、ガスコンロの近くや隙間がない場所を避ける(年間約1,200円の節約)


3.パソコン

(1)使わない時は電源を切る(デスクトップ年間約700円、ノート年間約140円の節約)

(2)90分以内の休止はスリープモードにする(シャットダウンの3分の1の電力消費)

(3)ディスプレイの輝度を下げる(100%から40%に下げた場合、平均約23%の節約)

(4)使っていないメディアドライブやUSB機器は外す

(5)パソコン周辺の風通しを良くし、本体の熱を下げる

(6)周辺機器の電源も忘れずに切る

(7)パソコンを買い替えるときは、「国際エネルギースターロゴ」をチェックする


4.電気ポット

保温は長時間せず、都度沸かしましょう。


5.炊飯器

(1)長時間の保温をしない(10時間で炊飯1回分と同じ電気代)

(2)土鍋を使ってガスコンロで炊飯する


6.電子レンジ

解凍時間を短縮するために、早めに冷蔵室へ移しておきましょう。


7.テレビ

(1)主電源を切る(録画機能内蔵タイプは注意)

(2)必要以上に音量を上げない

(3)画面の明るさを調整する(32V型の液晶テレビの場合、年間約700円の節約)

(4)画面をこまめに掃除する

(5)省エネモードを活用する


8.照明

(1)こまめに消灯する

(2)電球を白熱からLEDに交換する(年間約2,400円節電)


まとめ


今年の夏と冬の電力供給は、この10年で最も厳しい見通しとなっています。

また、大手電力10社の電気料金は、燃料価格の高騰などを背景に、この1年で約10%~30%値上がりしています。

最近では、大手電力会社以外の「新電力」に切り替えるご家庭や企業も増えていますが、節電も生活費と需要の面では重要なことです。


一つ一つの節電効果は軽微かもしれませんが、積み重ねることで大きくなっていきます。

厳しい電力需給の改善するためには、「電気料金を下げる」「消費電力を減らす」という意識を持って、官民で協力しあうことが必要かも知れません。


※節約金額は目安です。

実際は各家庭によって異なりますので、ご自身に合った節約をお願いします。

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