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ほぼ満点!2024年NISA改正

12月16日、とうとう、今年も「税制改正大綱」が、発表されましたね。

これをもとに、来年以降の新しい税制の法案がつくられますから、とても重要な文書です。


FPとしては、iDeCoの加入年齢、生前贈与の加算期間、教育資金一括贈与など、他にも気になるところはありますが、今回は、「NISAの改正」について、お伝えします。

1.はじめに


実は、NISAの改正は、今回が初めてではありません。

2020年度の「税制改正大綱」で、すでに、一度、改正される内容が決まっていました。

改正時期が2024年1月という点は同じですが、内容は前回よりも、格段にパワーアップしています。


現在、NISA改正については、2種類の情報が存在しています。

動画やネットで検索すると、前回分と今回分の2種類の内容が出てきます。

検索結果の内容に、「2階建て」についての説明があった場合は、前回分ですから、よほどNISAについて調べたいとき以外は、気にしなくていいでしょう。


2.NISAって何?


NISAとは、株式や投資信託を売却したときや、配当を受け取った時などに得られる利益が非課税になる制度です。

本来、課税される20.315%分が受け取れますから、この差額はとても大きいですね。


現在のNISAは、3種類。

成人用は、投資信託だけに、積立する「つみたてNISA」と、投資信託と株式に投資する「一般NISA」。

未成年用の「ジュニアNISA」です。


「つみたてNISA」は、2019年以降、20代、30代の方を中心に、口座開設が増えています。


3.NISA改正ポイント


では、今回、どう変わるのか。

改正のポイントを5つ、解説していきます。



①NISA制度の恒久化


現在は、「一般NISA」2023年まで、「つみたてNISA」2042年までの時限措置です。

これを撤廃し、いつでも利用できるように、恒久化されます。


「制度がある内に、早く始めないともったいない」と焦ることなく、好きなタイミングで利用できるようになります。


②非課税投資期間の無期限化


非課税の保有期間は、「一般NISA」5年間、「つみたてNISA」20年間になっていますが、これも、無期限になります。


今のNISAだと、「5年の非課税期間が終わる前に利益確定しておこう」と、早めに売却してしまう傾向がありますが、改正後は、焦らず、ゆっくり長期投資ができるようになります。

また、「つみたてNISA」を月3万円で利用していた場合、今後も同じ金額で継続すると、20年という期限がありませんから、40年以上に延長して積み立てることができます。


③つみたてNISA・一般NISAの併用可能


現在は、「一般NISA」と「つみたてNISA」の選択制です。

改正後は、「一般NISA」は「成長投資枠」、「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」となり、枠という形で、どちらも利用できるようになります。


例えば、ボーナスや退職金などのまとまった資金は、一部を「成長投資枠」、残りを毎月10万円ずつ「つみたて投資枠」と、併用することができます。


④年間投資枠の拡大


「一般NISA」は、120万円から、2倍の240万円に、

「つみたてNISA」は、40万円から、3倍の120万円に拡大され、合計で、最大で360万円まで利用できるようにます。


ただし、年の途中で売却しても、年間投資枠は復活しないため、注意が必要です。


増額は、もちろんですが、「つみたてNISA」の月額が割り切れる数字になるのもいいですね。

現在の年間40万円というのは、12ヵ月で割ると、月33,333円でしたが、改正後は、月に最大10万円までになります。


⑤生涯非課税投資枠の拡大


現在の最大利用できる金額は、「一般NISA」が600万円、「つみたてNISA」が800万円です。

改正後は、「生涯非課税投資枠」を設け、2つ合計で最大1800万円となります。

このうち、株式などの「成長投資枠」(一般NISA)は、上限が1200万円です。


投資枠の計算基準は、投資元本で、評価益は含みません。

新NISAは、現在のNISAとは別枠です。

すでに、「一般NISA」や「つみたてNISA」の上限で保有している場合でも、上限最大1,800万円まで利用できます。


「生涯非課税投資枠」の枠は、売却すると復活します。

ここが「年間投資枠」の取扱いとは違います。


仮に、毎月10万円ずつ積み立てをすると、15年後には生涯投資枠1,800万円の上限に達してしまいますが、積立途中に住宅購入資金用に1,000万円を売却した場合、復活した枠で新たに投資ができます。

また、リバランスも兼ねて、適度に売買してもいいですね。


そして、未成年用の「ジュニアNISA」は、2023年で終了します。


4.新NISA注意点


いいことずくめの改正ですが、注意点が4つあります。


①「成長投資枠」の投資対象に制限


「つみたて投資枠(つみたてNISA)」は、改正後も現在と同じく、金融庁が選定した投資信託が対象ですが、「成長投資枠(一般NISA)」には、制限が設けられます。


株式については、上場廃止基準に該当する可能性のある「監理銘柄」や上場廃止が決まった「整理銘柄」は対象外。

投資信託については、「毎月分配型」や、「信託期間が20年未満」は、対象外。

指数の2~3倍の値動きをする「高レバレッジ商品」も対象外です。


長期の資産形成に向いていないものは、対象から外れるというわけです。

実際に利用する時は、対象かどうか、今まで以上に、確認する必要がありますね。


たしかに、投資信託の「毎月分配型」は、投資効率が下がるというデメリットはありますが、それなりに需要はあります。

投資初心者を保護する趣旨は理解できますが、この対象制限を絞った点が、個人的に、「満点」ではなく、「ほぼ満点」とした理由です。


②年間投資枠は、売却しても復活しない


「年間投資枠」は、年の途中で売却しても、その年の枠は復活しません。

これは、今のNISAと同じですが、枠が復活する「生涯非課税投資枠」と混同しないように、注意しましょう。


③100%施行されるとは限らない


税制改正は、「与党税制改正大綱」の発表後も、いくつかのプロセスを経て、最終的に3月の国会で、可決・承認されなければ施行されません。

前回のNISA改正の例もありますし、今回の改正内容が変更されないとは限りません。

「税制改正大綱」の発表後は大幅に変更するケースが少ないため、過敏になる必要はありませんが、100%ではないと言うことは知っておきましょう。


④NISAは投資に対する非課税制度


NISAは、あくまで、投資に対する非課税制度です。。

投資は、リターンも期待できますが、リスクもあります。

改正NISAに限ったことでは、ありませんが、枠を使いきることだけが、最善な投資方法ではありません。

制度に振り回されないように注意しましょう。


今のNISAも十分に魅力ある制度ですから、まだ利用されていない方は、今のうちに、NISAでの実績を積んで、2024年のスタートに備えておきましょう。


5.今のNISAはどうなる?


現在のNISAは、新規買付が2023年末で終了します。

非課税で保有しているの商品がある場合は、現在の取扱いを継続します。

このとき、新NISAとは別枠になるため、「生涯非課税投資枠」を最大1800万円まで利用できます。


6.まとめ


今回の改正は、前回の内容より格段にパワーアップしています。

時間制約が撤廃されたことで投資タイミングの自由度が増し、非課税枠が拡大されたことで投資先の選定幅が広がります。


また、NISA改正だけでなく、投資初心者への助言や金融教育推進のための環境も整備されていきます。


まだNISAを利用されていない方は、現在のNISAも十分魅力的な制度ですから、実績を積んで新NISAスタートに備えてはいかがでしょうか。


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