寿命が延びるのは喜ばしいことですが、健康でないと、思わぬコストに苦しめられるかも知れません。
そのコストとは何か。
不安のないセカンドライフを送るために、知っておいてもらいたいことがあります。
ますます、高齢化が進んでいます。
厚生労働省の発表によると、全国の100歳以上の高齢者は、昨年、過去最多となりました。
この30年間で、約21倍に増えたということです。
高齢化に伴い、知っておいてもらいたいこととして、「3つの寿命」があります。
(1)平均(生命)寿命
平均寿命とは、0歳のときの平均余命のことです。
現在は、男性81.47歳、女性87.57歳となっています。
(2)資産寿命
資産寿命とは、築き上げてきた資産が全てなくなるまでの期間のことです。
金融資産÷年間取崩額(年間支出-年金受取額)の計算式で求められ、資産寿命の目安となります。
計算例)金融資産1,000万円、毎月の収支▲5万円(年間▲60万円)
1,000万円÷60万円=約16年
この場合の資産寿命は、16年となり、この時期で金融資産がなくなることになります。
(3)健康寿命
健康寿命とは、健康上、制限なく日常生活が送れる期間のことです。
現在は、男性72.68歳、女性75.38歳です。
あまり聞き馴染みがないかも知れませんが、2000年に「日本が世界一」とWHOが発表して以降、関心は高まってきています。
2.人生後半の思わぬコストとは?
そもそも、夫婦2人が老後生活を送るためには、最低限、月に約26万円(※1)、 ゆとりある生活をするためには、約36万円(※2)が必要という統計があります。
※1出所:総務省「家計調査年報(家計収支編)2020年家計の概要」
※2出所:(公財)生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」
「老後2,000万円問題」が話題になって以降、老後資金の準備を目的として資産運用を始める方が増えてきました。
ですが、この「2,000万円問題」や、一般的な「キャッシュフロー表」などは、通常の健康状態をベースにしているものが多く、年齢を重ねるほど発生確率が高くなるコストが含まれていません。
では、そのコストとは何か。
それは、「医療費」と「介護費」です。
(1)医療費
まず、医療費から見てみましょう。
このグラフは、年齢別の国民一人当たりの医療費です。
一生涯にかかる医療費は、約2,800万円。
年齢的には、70歳を超えたあたりから急増し、この時期に一生のうちの約半分を使います。
支払った医療費の内、一定額が戻ってくる「高額療養費制度」を利用すれば、負担は軽減されます。
しかし、それでも、ある程度の資金は事前準備が必要になります。
通院するためのタクシー代や、入院したときの差額ベッド代などは、公的な医療費とは別枠になるためです。
医療費を備える目安は、大体、最低300万円位と言われています。
どういった治療をおこなうかにもよりますが、何が起こるか分かりませんから、これくらいの備えはあった方が安心でしょう。
(2)介護費
そして、次に、介護費を見てみましょう。
要介護状態になった時も、費用がかさみます。
こちらの表は、要介護になる人の年齢別の割合です。
80代後半から加速し、90代後半になると大半の人が介護状態になっています。
要介護の主な原因は、「認知症」「脳血管疾患」などです。
もともとは、生活習慣病や持病を患っている方が多いため、こういう方々は要介護のリスクも高くなります。
介護の費用(平均)は、一時金74万円、月額で8万円。
介護の平均期間に換算すると、合計581万円になります。
もし、施設に入所となると、平均で819万円と、相当高くなります。
病気や介護は、いつ必要になるか分かりませんから、想定外のリスクにそなえておくことが必要です。
この2つのコストをどれだけ抑えられるかは、先述した「健康寿命」がカギを握っています。
人がどれくらい生きられるかという「平均寿命」と、健康上、制限なく生活できる「健康寿命」。
この2つの寿命の差は、いわば不健康な期間を意味しています。
現在では、男性が約9年、女性が約12年。
※出所:厚生労働省「e‐ヘルスネット(健康寿命の基礎知識)
この不健康な期間が長引くほど、「医療費」と「介護費」の負担が増加します。
健康寿命を延ばすことで高額な医療費や介護費を抑え、結果的に、資産寿命も延ばすことにつながります。
2019年に、厚生労働省が「健康寿命延伸プラン」を打ち出していることからも、その重要性が窺えます。
3.健康的なお金持ちの特徴3つ
とはいえ、どうやって健康寿命を延ばせばいいのでしょうか。
運動や食事に気をつかうのは、もちろんですが、ここでは医学的なことではなく、FPから見た「健康的なお金持ちの特徴」に触れたいと思います。
私見にはなりますが、長い金融業界の中で多くの健康的な資産家の方にお会いしてきた経験は、多少なりとも、ご参考になるのではないでしょうか。
(1)十分な睡眠時間をとっている
特徴の1つ目は、十分な睡眠時間をとっていること。
平均して、睡眠時間1日6~7時間という方が多いですね。
たしかに、睡眠不足は、がん、生活習慣病、うつ病、認知症など、病気の発症リスクを高めます。
逆に、睡眠時間7時間の方は亡くなる確率が最も低く、長寿だという調査結果もあります。
ですが、十分な睡眠時間と言っても、8時間を超えるなど、長すぎてはよくないようですね。
(2)社会的なつながりをもっている
特徴の2つ目は、社会的なつながりをもっていること。
リタイア後も、ボランティアやサークル活動など、いろんな会に参加する方が多いですね。
人とのコミュニケーションが増えると、いろんな情報に触れ、活動後の達成感もあるそうです。
活動と合わせて、運動不足の解消にもつながりますね。
(3)新しいことにチャレンジしている
特徴の最後、3つ目は、新しいことにチャレンジしていること。
未知の世界に入っていくと、いろんな世代、いろんな職業の方と知り合えて、新しい発見や、友人をつくることにもつながるそうです。
こういう好奇心が旺盛な方は、資産運用の面でも、その力を発揮します。
自分の体力や環境に合わせて、新しいことにチャレンジしたいですね。
いかがでしょう。
あてはまるものは、あったでしょうか?
4.まとめ
最近では、「長生きリスク」という言葉も聞かれます。
老後資金の準備も重要ですが、健康を害してしまっては余分なコストがかかってしまいます。
人生後半には、健康上、思いもよらないことが多々あります。
健康寿命を延ばすために心がけることも、大切なことではないでしょうか。
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<解説動画>
▼YouTube動画
「健康がカギ!人生後半の思わぬコストとは?」
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