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NISA改正 2023年に準備すること10選

最近、人気のNISA。

2024年のNISA改正が発表されてから、新NISAへのご質問も増えました。

内容がかなりバージョンアップする新NISAですが、よく理解して、準備しておかないと、損をすることもあります。

1.NISA改正とは


まず、NISA改正の内容を、確認しておきましょう。


NISAの改正は、2020年度の「税制改正大綱」から続き、今回で2回目です。

どちらも、改正時期は2024年1月からと同じですが、今回の方が格段にパワーアップした内容になっています。


動画やネットで、「NISA改正」と検索をすると、前回分と今回分の2種類が混在して出てきます。

内容に、「2階建て」という文言が出ていれば、前回分の改正についての説明です。

また、更新日が2022年12月「税制改正大綱」の発表以前の場合は、予想部分が含まれるので、内容に気を付けた方がいいでしょう。


今回の改正ポイントは、大きく5つです。


未成年用の「ジュニアNISA」は、2023年で終了します。

ここでは、株式や投資信託が対象の「一般NISA」と、投資信託の積立専用の「つみたてNISA」について、開設します。


(1)つみたて・一般NISAの併用可能

現在は、「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらかを選択します。

新NISAは、「一般NISA」は「成長投資枠」、「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」と、枠に名前を変えて、両方が利用できるようになります。


(2)口座開設期間の恒久化

現在、口座開設ができる期間は、「一般NISA」が2023年まで、「つみたてNISA」が2042年までです。

新NISAでは、いつでも利用できるようになります。


(3)非課税保有期間の無期限化

現在の非課税の保有期間は、「一般NISA」5年、「つみたてNISA」20年となっています。

新NISAでは、無期限となります。


(4)年間投資枠の拡大

「一般NISA」は、現在の120万円から、2倍の240万円に拡大します。

「つみたてNISA」は、現在の40万円から、3倍の120万円に拡大されます。

どちらも併用した場合、最大で360万円まで利用できます。


(5)生涯非課税投資枠の新設

現在は、最大の非課税枠は、「一般NISA」600万円、「つみたてNISA」800万円です。

新NISAでは「生涯非課税投資枠」を新設し、2つの枠を合計して最大1800万円まで利用できます。

このうち、株式も利用できる「成長投資枠」は、1200万円までです。


改正内容の解説したブログや動画がありますので、ご参照ください。


▼ブログ

「ほぼ満点!2024年NISA改正」


▼YouTube

「ほぼ満点!2024年NISA改正 ポイント解説」


2.新NISAこんなことに注意!


メリットが多い新NISAですが、注意しないと危険なことが6つあります。


(1)成長投資枠の対象に制限

NISAの対象商品は、つみたてNISAの後継である 「つみたて投資枠」は現在と同じく、金融庁が選定した投資信託が中心です。


ですが、一般NISAの後継である「成長投資枠」は、現在と異なり、対象から除外される条件が設定されます。

これにより、除外対象となる公募投資信託は、現在の約6,000本から3分の2の2,000本まで絞り込まれると言われています。


除外される条件は、全部で4つ。


①監理銘柄・整理銘柄

株式について、上場廃止基準に該当する可能性がある「監理銘柄」や、上場廃止が決まった「整理銘柄」は、対象外となります。


②毎月分配型

投資信託については、合計3つ除外されます。

まず、1つめは、毎月分配金が出る「毎月分配型」。

毎月分配金が出る商品は、元本から取り崩すタコ足配当になっているものが多くあります。

そもそも、分配頻度が多いと、複利効果が薄くなるなど投資効率が悪くなります。


③信託期間が20年未満

信託期間というのは、運用期間のことです。

現在の「つみたてNISA」の対象商品も無期限または20年以上となっています。


現在、人気がある高利回りのアメリカ企業の社債を組み入れている商品も、信託期間は5年前後が多いため対象外となる可能性があります。


その他、通信やロボットなど、一定のテーマに絞って運用する「テーマ型投信」も、信託期間は10年前後と、他の商品より短い特徴があります。

組入れ内容がわかりやすい点はメリットですが、1つのテーマに集中して投資するため、リスクが高くなります。

もしかすると、こういった「テーマ型投信」を除外する目的も、含まれているかもしれません。


④高レバレッジ商品

レバレッジ商品とは、指数の2~3倍の動きとなるように設定された商品です。

代表的なのは、「ブルベア」「レバナス」などです。

レバレッジを含む投資信託もリスクが高い商品と言えます。

新NISAの対象になるかどうか、境界が微妙な商品もありそうです。


いずれにしても、長期の資産形成や投資初心者には向いていない商品は、対象から除外されるということです。


新NISAの対象商品は、今後、どこかのタイミングで発表されると思います。

実際に購入する時には、取引している金融機関をはじめ、金融庁、投資信託協会などの情報提供をしているサイトでも、確認することが必要です。

今後の投資方針や商品選びにも影響が出るため、しっかり押さえておきましょう。


(2)現行NISAと新NISAは、別物

今のNISAの非課税措置は、、投資可能期間まで適用されます。

2023年までにNISAで購入した商品は、2024年以降も購入してから「一般NISA」は5年間、「つみたてNISA」は20年間、非課税で保有できます。


別物であるため、現在、NISAで保有している商品があっても、新NISAの「生涯非課税投資枠」1,800万円は、全額利用できます。


(3)新NISAにロールオーバーできない

今の「一般NISA」には、非課税の投資期間が5年という制限があります。

その投資期間が終了したとき、翌年のNISA枠へ移す手続きを「ロールオーバー」と言います。


「つみたてNISA」は、もともと、ロールオーバーはできません。


影響が大きいのは、2019年以降に「一般NISA」で商品を購入している場合です。

非課税の投資期間5年が終了するとき、今までと異なり、ロールオーバーできません。


売却か、課税口座に移すかの2択になります。

売却する場合は、そこで取引が終了しますから、問題ありません。


ですが、課税口座に移管する場合は、損失にも関わらず課税される可能性もあるため、注意が必要です。


具体的に、例を挙げましょう。

「一般NISA」を利用して1,000円で購入した商品が、非課税期間が終了する5年後に500円に値下がりしていたため課税口座に移管したとします。


このとき、取得価格は購入時の1,000円ではなく、移管する年の最終営業日の価格500円に変更されます。

課税口座に移管後に700円で売却した場合、本来は300円の損失ですが、税制上200円の利益とみなされ、20.315%が課税されます。

値下がりと、税金の両方で、損失を被ることになります。


なお、「ジュニアNISA」は2023年末で廃止となります。

現在、保有している商品は5年間の非課税期間終了後、自動的に継続管理勘定に移行され、18歳になるまで非課税措置が受けられます。


(4)年間投資枠は、売却しても復活しない

NISAで保有している商品を売却しても、その年に利用している年間投資枠は復活しません。

年間投資枠の上限360万円が増えることはありません。


これは、今のNISAにも言えることです。

新NISAに「生涯投資枠」が新設されたため、「年間投資枠」と混同しないようにしましょう。


(5)生涯投資枠は、売却すれば復活する

今度は、先ほどと逆です。

年間で使える「年間投資枠」は復活しませんが、生涯で使える「生涯投資枠」は、復活します。


生涯投資枠は、購入残高(=簿価残高)で管理されます。

このため、NISA口座内の商品を売却した場合は、売却した商品の購入分(簿価分)の非課税枠が再利用でます。


利用者それぞれの生涯投資枠の管理は、金融機関から提供された情報をもとに、国税庁が一括して行います。

金融機関の変更は、今と同じく可能です。


(6)利益が出なければメリットがない

損失をカバーする税金の考え方として、「損益通算」と「繰越控除」というものがあります。

「損益通算」は、損失と利益を相殺できること。

「繰越控除」は、損失を翌年以降の利益から、最長3年間繰り越して控除できることです。


ですが、NISA口座では、この2つは利用できません。


そもそもNISAは利益が非課税のため、損失を通算する必要がないものです。

今のNISAも同じく利用できませんが、新NISAも使えないということを押さえておきましょう。


3.準備すること10選


そして、改正内容や注意点などを踏まえて、今年中に準備しておくことがあります。

「確認する」「戦略を考える」「行動する」の3つのステップに沿って、全部で10個お伝えします。


(1)確認すること


①将来のライフイベント

今後、どんなイベントがあるのか書き出してみましょう。

車、お子さんの進学、マイホーム購入、老後資金などがあるのではないでしょうか。

20年30年と長い期間で、ライフイベント表やキャッシュフローをつくることがベストですが、難しい場合は、5年や10年先に何があるか考えてみましょう。

イベントを把握することで、お金が必要なタイミングや金額がわかるため、準備しやすくなります。


②投資の目的とリスク許容度

ライフイベントの確認後は、投資の目的とリスク許容度の確認です。


何のために投資するか、目的をはっきりさせておくと、メリットがあります。

例えば、5年後にお子さんの進学の資金が必要な場合、元本の変動が大きいリスクの高い投資は避けた方がいいとか、30年後の老後資金用に、2,000万円を貯めたい場合は多少リスクの高い投資もできるなど、その目的や期間に合った投資方法を見つけることができます。

また、何のために投資するかを決めておくと、市況の変動に一喜一憂したり、積立を途中でやめてしまう、というようなことが少なくなります。


そして、リスク許容度。


投資元本の変動を「リスク」と言い、それに、どれだけ耐えられるかを「リスク許容度」と言います。

このリスク許容度は、その人の性格や、ご家庭の状況によって違います。


一般的には、年齢を重ねるほど、ライフイベントが多いほど、家計に余裕がないほど、リスクを取りづらくなります。

また、相場が下がると夜も眠れない、そんな性格の方にとって投資は負担でしかありません。


ご自分のリスク許容度を超えた投資をすると、失敗のもとになりますから、確認しておきましょう。


(2)戦略を考える

今の資産状況や投資資金に応じて、新NISAの活用方法を考える必要があります。

ここでは、具体的に5つご紹介します。


①iDeCo(個人型確定拠出年金)とのバランス

「iDeCo」の正式名称は、「個人型確定拠出年金」と言います。

公的年金の補完として、積み立てによって、「掛金」「運用益」「受取金」の3つに税制優遇がある老後資金づくりのための制度です。


優先すべきは、新NISAです。

しかし、「NISAの上限枠を超えてしまう」「とにかく節税したい」という方などは、iDeCoを併用するのも一案です。

ただし、iDeCoの節税効果は大きいですが、原則60歳まで引き出せないため、バランスを考えることが必要です。


②どちらの投資枠を使うか

現在は、「一般NISA」と「つみたてNISA」の選択ですが、新NISAでは両方利用できます。


2つの枠を満額利用することがベストですが、どちらかを優先するのであれば、長期投資に向いている「つみたて投資枠」です。


年間投資枠が120万円のため、毎月の積立金額は月10万円まで可能です。

積立金額を増やしたい場合は、「つみたて投資枠」で購入できる商品は「成長投資枠」でも購入できるため、「成長投資枠」も利用して計360万円をすべて、積立ることもできます。


生涯投資枠は、1,800万円で、このうち、成長投資枠を使う場合は1,200万円までです。

ですが、必ずしも成長投資枠を利用する必要はないため、つみたて投資枠のみで1,800万円全額利用することもできます。


ただ、個別の株式やつみたて投資枠以外の投資信託を購入したい場合は、成長投資枠を利用することになります。


ポートフォリオを組む際に、安定運用を中心としながら積極運用もおこなう「コア・サテライト戦略」というものがあります。


この戦略にならうのであれば、例えば、つみたて投資枠で毎月10万円を積み立てし安定運用をおこなう。

成長投資枠で、個別株やつみたて投資枠以外の投資信託を毎年240万円購入し積極運用をおこなう。

そういった具合に、2つの枠を併用して思料する方法もあります。


③課税口座分を売却して、新NISAで買いなおすかどうか

基本的には、新規資金で満額を利用することがベストです。

ただ、どちらがいいかは、ケースによります。


例えば、損失が大きい場合は損益通算が可能な課税口座で売却した方がいいでしょう。

逆に、利益が多きい場合は、見通しは難しいですが、今の利益に課税される20.315%の金額と、予想される値上がり益の金額とを比較して売却するかどうかを判断した方がいいでしょう。


④NISA口座分を売却して、新NISAで買いなおすかどうか

今のNISAは、期間が終了するまで非課税で運用されるため、急いで売却する必要はありません。

2つのNISAを並行して利用できるため、余裕があれば、そのまま運用した方がいいでしょう。

もし、買いなおすための資金の準備として売却するのであれば、損益通算ができる課税口座分から優先しましょう。

ただし、「一般NISA」の非課税期間が終了する商品があれば、そのタイミングで検討してもいいでしょう。


⑤新NISA1本にまとめるかどうか

「貯蓄型の保険と、新NISAをまとめた方がいいでしょうか?」

そういうご質問を受けることがあります。


保険よりも高いリターンが期待できるため、新NISAにまとめた方がいいでしょう。

ですが、それは保険商品の内容にもよります。

保険は、解約時によって解約金の額が違い、税金の軽減や死亡保障が厚い商品もあります。

判断を迷う場合は、保険はそのまま保有して、1,000円など無理のない金額でNISAの積立投資をはじめてみましょう。


どんな戦略をとるにしても、投資のシミュレーションもしておきましょう。

例えば、毎月いくら積み立てると何年後にいくらになるか、この金額でリタイア後に毎月いくら取り崩せるかなど。

具体的に金額をイメージすることは、とても大切です。


(3)行動すること

最後に行動することから、具体的に、3つ。


①今年のNISAを利用する

「新NISAがオトクなので、来年から始めます」

そういう言う方もいらっしゃいますが、今年のNISAを利用することをお勧めします。

その理由は、大きく2つあります。


1つは、非課税枠が増えるため。

今のNISAは、新NISAの生涯投資枠1,800万円とは、別枠で利用できます。

「一般NISA」は120万円、「つみたてNISA」は40万円。

その分、非課税枠が増えることになります。


そして、もう1つは、投資に慣れておくためです。

投資未経験の方の中には、YouTubeやニュースで投資の勉強をしているから大丈夫と思っているかも知れません。

ですが、机上の知識と、自分のお金を出した実際の取引は、まったく違います。

初めての投資で、いきなり利益を出すことはなかなか難しいものです。

投資に慣れていないと、相場が少し変動しただけでも驚いて、投資をやめてしまうことにもなりかねません。

積立であれば100円や1,000円から利用できますから、無理のない程度で始めておきましょう。


また、「今のNISAを利用すると、新NISAの手続きが面倒」という方もいらっしゃいますが、「一般NISA」または「つみたてNISA」のどちらかを開設しておけば、「つみたて投資枠」「成長投資枠」が自動的に開設されます。


ただし、繰り返しになりますが、今のNISAは新NISAへのロールオーバーができないため注意が必要です。


②投資の知識を身につける

新NISAは、バージョンアップし使い勝手は良くなりますが、その分、今まで以上に投資方法を自分で考える必要があります。


「NISAはお得だから、なんとなくしてる」「あの人が言ったから」「商品はランキングから選ぶ」

そんな方は、失敗するリスクが高くなります。


経験もそうですが、投資の知識も増えれば増えるほど、周りの意見に振り回されたり、途中で挫折したりすることが少なくなっていきます。


③投資にまわすお金を増やす(=入金力を高める)

投資に回すお金、元本を増やすことを「入金力」と言います。


投資においては、元本が大きいほど、利益が大きくなるという法則があります。

同じリターンでも元本が大きい方が、当然、増える金額も大きくなります。

投資で得た利益を再投資することで、資産の増加を加速させることを「複利効果といいますが、この複利効果によって、投資元本がさらに増えていくためです。


非課税枠が拡大した新NISAを有効に使うためには、新規資金で満額利用することが最適です。


満額は無理でも、せめて、節約によって支出を減らしたり副業で収入を増やすなど、新NISAに回すお金を増やしていきましょう。


※実際の投資は、ご自身の判断でお願いします。


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