今、日本の株式市場では、「高配当株」と「株主優待」が人気です。
そこで、今回は、人気の理由と、購入を避けた方がいい銘柄の見分け方などをお伝えします。
1.高配当株式とは
「株式の配当」とは、企業が株主に利益を分配することです。
通常は、決算の時に分配されますが、特別に大きな利益があったときは「特別配当」、会社の記念があるときは「記念配当」といったように、いつもより上乗せする場合があります。
配当の額が変動すると、株価に影響が出ます。
プラスに作用しやすいのは、この「特別配当」や「記念配当」の他に、配当を復活させる「復配」、配当を増やす「増配」、これらを企業が発表したときです。
逆に、マイナスに作用しやすいのは、配当を減らす「減配」、配当を出さない「無配」を発表した時です。
そして、配当は額が多ければいいというものではなく、「配当利回り」を確認する必要があります。
この「配当利回り」とは、株価に対して、配当金がどれくらいかをあらわす指標です。
「高配当株」とは、この「配当利回り」が高い株式のことです。
一般的に、3%以上を「高配当株」といい、購入の指標としている投資家もいます。
2.高配当株が人気の理由
(1)高水準の利回り
最近、株主への利益還元を、配当によって充実させる企業が増え、2023年3月期は、配当総額が過去最高を更新する見通しです。
好業績な上に、配当利回りが3~4%ある企業も、多くあります。
(2)安定した株価
今年1月4日から11月22日までの指数を比較すると、日経平均は4.05%の下落に対し、、10年以上増配や維持を続けている銘柄で構成される「S&P/JPX配当貴族指数」は、13.78%上昇しています。
(3)定期的な収入源
何もしなくても、配当として現金収入があることは、物価高騰が続いていますから、生活費の大きな助けとなります。
3.高配当株のデメリット
ですが、いくら利回りが高いと言っても、デメリット(リスク)があります。
(1)元本の保証がない
(2)配当金が出るたびに税金が引かれるため、投資効率が悪い
(3)減配や無配になる可能性がある
4.高配当株を選ぶときの注意ポイント
減配や無配になる可能性がある株式には、共通点があります。
少しでもリスクを下げるために、気をつけたいポイントがあります。
(1)高すぎる配当性向
「配当性向」とは、企業が利益のどれくらいを株主に還元したかをあらわす指標です。
30%~40%を目安に公約する企業が多くあります。
もし100%を超えていた場合は、タコ足配当になっていることになり、将来「減配」する可能性があります。
(2)自己資本比率の低下
「自己資本比率」とは、企業の安定性を表す指標です。
数値が高いほど、財務が安定していることになりますが、業種によって格差があります。
飲食業は、もともと10%台と低いですが、他の業種であれば、30%以上が投資対象の一つの目安になります。
(3)赤字が続いている
特別な外部要因もなく、過去、何度も赤字になっている場合は、単に株価が下がったことによって、配当利回りが高いだけかも知れません。
(4)有利子負債の増加
増収が伸び悩んでいるのに対し、社債や借入金などの有利子負債だけが増加している場合は、注意が必要です。
(5)不安定な配当額
配当額が不安定な企業は、株価も不安定な場合があります。
減配していないかどうか、直近だけでなく、過去の推移も調べておきましょう。
(6)記念配当による利回り
記念配当などの増配を企業が発表すると、株価へのプラス要因になりますが、すぐ下落するケースもあります。
業績や成長性などの魅力がなければ、通常の配当に戻ったときに配当利回りが急激に下がってしまいます。
5.株主優待とは
「株主優待」とは、企業が株主に自社製品やサービスなどをプレゼントする制度です。
上場企業の約4割が実施しています。
日本マクドナルドやイオンなど、有名な企業も多く取り入れています。
最近は、優待を廃止する企業も増えてきました。
「オリックス」や「JT」が廃止を発表したのは、有名です。
廃止が増えた理由は、大きく2つあります。
(1)利益還元を公平に期すため、配当や自社株買いにシフトしてい
(2)今年の東証の市場再編によって、上場基準となる株主数が緩和されたことが挙げられます。
6.優待銘柄の注意ポイント
「優待の廃止」が発表されると、楽しみが減るだけでなく、株価の値下げ要因にもなります。
優待を廃止する企業には、いくつか共通点があります。
廃止を避けるために、その共通点を把握しておきましょう。
(1)単なる「株主還元」を理由にしていないか
戦略性の薄い株主還元は、評価を得にくく、株価が下がりやすくなります。
将来、廃止する可能性も出てきます。
(2)「QUOカード」「カタログ」ではないか
自社とは無関係の優待は、手間もコストもかかります。
「QUOカード」「カタログ」は、導入も容易ですが、廃止も同じように容易です。
(3)業績悪化や減配が続いていないか
業績が不振であれば、優待どころではありません。
特に、自己資本比率の減少にまで影響している場合は、要注意です。
(4)時価総額が100億円を超えているか
「時価総額」とは、企業の規模や価値を表す指標です。
100億円以下、または、やや上回っている企業は、東証プライム市場に存続するために、優待より配当を重視する可能性があります。
(5)個人株主が急増していないか
自社製品以外の場合、株主が増加すればするほど、企業負担が大きくなりますので、廃止の方向になります。
(6)優待内容を頻繁に変えていないか
たびたび、優待内容が変わったり、新設して間もない場合は、注意が必要です。
(7)長期保有限定に切り替えていないか
1年以上のように据え置き期間を設けて、長期保有限定へ切替る企業は、廃止前の伏線かも知れません。
12月の優待は、「日本マクドナルド」「「ライオン」などの有名企業と合わせて、約180あります。
いろいろ探してみるのも楽しいですね。
7.まとめ
今年の権利付最終日は、12月28日(水)です。
この日までに購入しないと、権利がとれませんので日にちには注意してください。
また、ぎりぎりになると、それまでに、権利取りで値上がりするケースも多くありますので、慎重かつ迅速に、ご自身の判断で決めた方がいいですね。
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