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老後破産を防ぐ!50代から考える取崩し戦略

50歳代は、子育てが終了し、人生で3回ある「貯め時」の時期とも言われています。

「ねんきん定期便」で年金の見込み額が把握しやすく、退職金の受け取りも近づくため、リタイア後の生活や資産の取り崩しについても現実味を帯びてくる年代です。


資産をふやす方法は、「節約する」「年金をふやす」「定年後も働く」「運用する」などがあります。

しかし、どんなに資産をふやしても、取り崩し方を間違えると、「老後破産」に陥りかねません。

1.「形成」は登山・「取り崩し」は下山


最近では、リタイアするまでに老後資金を積み上げようと、投資を始める方が増えてきました。

増やすことは大変重要ですが、同時に将来、資産をどう取り崩すのかにも目を向けておく必要があります。

お金の向き合い方を登山に例えると、現役時代は「資産」という頂上を目指して登り、リタイア後は頂上からゆっくりと「取り崩し」ながら下りていくイメージです。

通常、登山をしようと思ったとき、登りだけでなく下りるときも、安全なルートを確認するはずです。

なんとか、頂上まで「資産」を積み上げたとしても、ルート「取り崩し」方法を確認しておかなければ、安全に下山できないかもしれません。


50代の方は、頂上が見え始める年齢です。

どうやって山を下りるのかを考えておくことも、不安のない老後を送るためには大切なことです。


2.取り崩しは、貯めるより難しい


ですが、下山ルート「取り崩し」は、登山ルート「形成」より難しいかも知れません。


貯める期間では、複利の力が働き元本は増えていきますが、取り崩し期間では、複利の力がマイナスに働き元本がどんどん減っていきます。


元本が増えている間は安心ですが、元本が減っていくと「資金がなくなったらどうしよう」とか不安になります。

自分の寿命は誰にもわからないため、あと何年資産を持たせればいいのか、なるべく減らさないように気を配るのは難しいことです。


3.押さえておきたいポイント


では、安全な下山ルート「取り崩し」はどうすればいいのか。


まずは、押さえておきたいポイントを3つ確認しておきましょう。


(1)どんな老後生活を送りたいか


ポイントの1つ目は、どんな老後生活を送りたいかをイメージすることです。


何歳まで働くのか、退職後はどんな趣味をもつのか、今の場所で暮らすのか。

資産を形成する時もそうですが、取り崩す時も目的によって、方法が変わってきます。


(2)ゴールをいつにするか


ポイントの2つ目は、ゴールをいつにするかイメージしておくことです。

決めるゴールは2つあります。


①積立


まず、積立。

積立投資を始めたものの、いつ止めていいのか分からないという方もいらっしゃいます。


止める時期として多いのは、やはりリタイアする時です。

そのほか、目標金額に到達する時や、今年までであれば「つみたてNISA」の非課税期間が終了する時を設定する場合もあります。


年間の支出額や資産状況などは、人によってさまざまですから、止めるのではなく、余裕資金があれば継続してもいいでしょう。


積立については、取り崩しに限ったことではありませんが、リタイア前でも休止また止めるという選択肢もあります。

積立を始めた頃は余裕があっても、急に大金が必要になる、退職を余儀なくされ余裕がなくなるということもあるでしょう。

積立を始めると頑張って続けようとする方も多いですが、投資は余裕資金でおこなうものですから無理はしないようにしましょう。


②最終年齢


次に、最終年齢。


最終的な着地をいつにするかによって、取り崩しの期間や方法は変わってきます。


平均寿命(男性81歳、女性87歳)をゴールとすることもできますが、寿命を確実に捉えることはできません。

長生きリスクを考えるのであれば、「人生100年時代」にちなんで100歳としてもいいでしょう。


(3)取り崩し可能金額を計算しておく


ポイントの3つ目は、取り崩しできる金額を計算しておくことです。


資産を長く持たせるためには、取り崩しによって毎月、いくらまで使えるかを知ることが重要です。


老後に、どれくらいの金額が取り崩しできるか確認しておきましょう。

年間の取り崩し可能金額を計算するために、保有資産の金額と最終的に残しておきたい金額を確認しましょう。


この図は、50歳男性で65歳まで働き、ゴールを100歳とした場合を例にしています。


まず、保有資産、65歳時点での評価は分かりませんから、とりあえず現在の評価で資産します。


そこに、一時金でもらう予定の退職金や年金保険やiDeCoなどを加えた数字から、葬儀代や家族への相続など残しておきたい遺す金額を引きます。

これをゴールまでの年数35年で割ると、1年間に取り崩すことができる金額が、ざっくりですが180万円になります。


これに、国民年金や厚生年金など、1年間にもらえる年金を加えると、老後に使える金額は、430万円になります。


ご自身で年金の額を見積もるときは、ねんきん定期便などでご夫婦分を確認してみるといいでしょう。


もし、公的年金以外に、企業年金のようなものがあれば、その分も年金として計算に入れます。


1年で使える使える金額430万円を12ヵ月で割ると、毎月使える金額は、36万円になります。


老後にゆとりある生活を送りたい場合は36万円くらい必要と言われてますから、この例だと、なんとかクリアできます。


これを機会に、定年後、何歳でどんなお金が受け取りできるようになるのか、整理してみましょう。

こちらの図は、60歳以降に受け取れるものにどんなものがあるのか。

人によって、受取時期や、いつまで働くかも違いますから、大体のイメージです。


iDeCoや退職金のように、受け取り時期が重なると税金が高くなる場合がありますから、時期や種類、金額まで確認しておいた方がいいですね。


この計算式はインフレ(物価上昇)率を加味していないため、ざっくりとした概算値になりますが十分なのか少ないのかのイメージはしやすいと思います。

より詳細に計算したい場合は、キャッシュフロー表などを利用した方がいいでしょう。


4.取り崩しの方法は大きく2つ


資産を取り崩す時、代表的な方法は2つあります。

一つは「定額」、もう一つは「定率」です。


それぞれに、メリット・デメリットがあります。

(1)定額


定額は、何万円といういうように、決まった金額を取り崩していく方法です。

投資信託で言えば、基準価額が下がったときに、多くの口数を解約します。


メリットは、受取金額が決まっているため、分かりやすく計画もたてやすいことです。

しかしデメリットは、想定より早く残高が無くなる可能性があることです。


生活費の不足を補いたい、毎月一定の収入が必要な方には、この方法が向いています。


(2)定率


定率は、資産に対して何%というように、決まった比率で取り崩していく方法です。

基準価額が高い時には多く、低い時には少なく解約します。

メリットは、資産を長持ちさせやすいこと。

「定額」に比べて、資産の減少を抑えることができます。

デメリットは、受取金額が変動することです。

取崩し当初は金額が多く、次第に少なくなっていくため、年齢を重ねるごとに受取金額が乏しくなります。


老後資金に余裕がある方や、資産寿命を優先したい方にお薦めの方法です。


(3)定口


代表的な方法は「定額」「定率」ですが、投資信託の場合、「定口」という方法もあります。


定口は、保有口数に何口というように、決まった口数を解約します。

メリットは、資産がいつゼロになるか事前にわかることですが、デメリットは資産の減少スピードが速いことです。


この期間に資産を使いきりたいという方は、この方法が向いています。


最近では、一定期間ごとに「定額」または「定率」で投資信託を解約するサービスをしている証券会社もあります。


自分で取り崩しを実行するのが難しい場合は、そういったサービスを利用する方法もあります。


また、投資効率が悪く、タコ足配当の商品も多いんですが、取り崩しの機能性を重視したいということであれば、毎月分配型の商品を購入するのも一案です。

ただし、NISAを利用したい場合は、来年の新NISAでは対象外になるため、毎月以外の分配型か、毎月受け取れるように複数商品にするかなど工夫が必要です。


5.老後破産を防ぐ取崩し方法


では、老後破産を防ぐには、どういった取り崩し方法がいいのでしょうか。


(1)運用しながら取り崩す


まずは、大前提として、運用しながら取り崩すことです。

取り崩しを始めるからと言って、いきなり運用をやめてしまっては資産寿命を縮めるだけです。


2,000万円を毎月10万円ずつ取り崩したとして、まったく運用しなければ、16年8ヵ月で資産が枯渇してしまいます。

ですが、運用しながらだと1%で1年半、3%で7年弱、5%で18年弱も資産寿命を延ばすことができます。

ですが、リスクを抑えたい場合は、ゴールまでずっと運用するのではなく、年齢によってスタイルを2つに分けるのも方法です。

例えば、65歳から取り崩しを始めたとして、80歳位までは運用しながら取り崩し、80歳を超えると運用をやめて使うだけの生活に入るなどです。


(2)どの資産から取り崩すか


次に、どの資産から取り崩すかについてですが、これはその時の市況やご自身の年齢やポリシーなどによって違ってきます。


現在の国内の金利水準からみると、銀行預金から取り崩すのも一案です。

もちろん、生活費やいざという時のための資金が確保できていることが前提です。

インフレ対策を重視したい場合や、株式市況で利益を追求したい場合もそうですね。

次に、特定口座の株式や投資信託、期限がある商品、そして最後にNISA口座内の商品という順に取り崩すと非課税のメリットを長く享受できます。


ですが、リスクを取りたくない場合や、70歳を超えてきたり、市場金利が高騰した場合などは、この逆の順で取り崩すことになるでしょう。


取り崩すのは毎月少額ずつですから、全体の資産にいきなり大きな影響が出るわけではありませんが定期的に見直すことをお薦めします。


(3)取り崩しは「定率」優先


最後に、どれくらいの金額を取り崩すかについてです。


資産の取り崩しは、「定額」よりも「定率」を優先するのがお薦めです。

理由は、「定率」の方が資産寿命を延ばすことができるからです。


取り崩す「率」を決めておけば、運用成績が良好で残高が増えているときは多めに、運用成績が不調で残高が減っているときは少なめに取り崩し、資産の減少を抑えるという効果が見込めます。


取り崩す率は、必要とする金額にもよりますが、資産総額が少ない人ほど高くなる傾向があります。

「FIRE(経済的に自立した早期退職)」の4%ルールに倣うなら、3~4%位でしょう。


FIREは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で資産を維持したまま生活費をまかなえるという考え方です。

4%という数字は、米S&P500の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を引いて計算されています。


日本のインフレ率は、アメリカほど高くありませんし、為替や投信の運用コストなどを考えると、取り崩しの率は3%くらいで見積もっていた方が無難化も知れません。


しかし、定率の取り崩しは、毎回取り崩す額が変動します。

また、取り崩しによって資産が減少し、年々受け取れる金額も減っていくというデメリットもあります。


そこで、資産が多い老後の前半は「定率」、資産がある程度減った老後の後半は「定額」に切り替えるのも方法です。


6.まとめ


労働収入がなくなる老後の暮らしは、年齢によって大きく変わり、投資の影響が色濃く反映されます。

実際には、一つの方法にこだわるのではなく、その時の暮らしや年齢、市況によって組み合わせてみたり、見直したりするのがいいでしょう。


資産の取り崩し期に入った後も1年に1度を目途に、資産状況や収支を確認し、その都度効率的な取り崩し方法を検討することが大切です。


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