ウクライナ侵攻 投資家のとるべき行動

事態終息の願いもかなわず、10日以上を経てもなお続いているロシアによるウクライナ軍事侵攻。

情勢の悪化とともに、昨日3月7日(月)の日経平均株価は一時前日比900円を超え、1年4ヶ月ぶりの安値となりました。

ウクライナ侵攻が家計や金融市場にあたえる影響をまとめ、あらためて投資家のとるべき行動を考えてみました。

家計にあたえる影響


以前からインフレや金利上昇の影響は懸念されていましたが、その影響はいよいよ深刻化しています。


1.原油(ガソリン)の上昇

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに加速しています。

北海ブレンド原油先物の3月7日の価格は1バレル140ドル近くまで急伸し、13年8ヶ月ぶりの高値をつけました。

一般的に国際紛争は、原油の生産減や輸送の停滞につながりやすく上昇要因ですが、この日は欧米が産油国であるロシアからの原油輸入禁止を検討していると伝わり、世界的に不足するとの思惑がはたらきました。

ガソリンなどは商品市況にもとづいて1~2週間後に販売価格に反映します。

原油の価格高騰は、インフレ、金利上昇、景気不安にもつながっています。


2.株式

日経平均は、直近10営業日の終値ベースで▲1,689円(▲6.27%)下落しています。

※2月21日26,910円~3月7日25,221円

当初の予想に反し、事態が長期化していることによって投資家の不安心理が増し、数値上は割安であっても買いにくい状態が続いています。


3.食品価格の上昇

ロシアとウクライナ両国の小麦の出荷シェアは約25%と大きく、紛争をきっかけに供給不安が懸念されます。

すでに国際的な指標である米シカゴ商品取引所の小麦先物価格は約14年ぶりの高値となり、トウモロコシや大豆価格も上昇しています。

ビニールハウスや漁船の動力として原油を使用している野菜や魚などの生鮮食品にも影響がでています。

小麦の値上がりはパンやパスタなど、トウモロコシの値上がりはそれを飼料としている牛肉、豚肉、鶏肉など、大豆の値上がりは食用油などの価格上昇につながります。

特に小麦の価格改定は年2回だけのため、今後半年から1年かけて価格上昇が加速するかもしれません。


4.電気・ガス料金の上昇

電気料金やガス料金は、燃料費調整制度という仕組みにより、3~5カ月前の輸入化石燃料の平均価格を料金に反映させています。

電力大手10社の4月分の電気料金は、料金が制度の上限に達した3社を除く7社が引き上げを決定しました。

火力発電所の燃料となる液化天然ガス(LNG)や石炭の価格高騰の影響で、今回で新たに2社が上限に達しました。

ウクライナ侵攻により、料金の高止まりが懸念されます。


5.半導体不足の加速

ウクライナは、液晶用のバックライトなどに使われるネオンガスを世界の約70%を供給し、自動車の排気ガスの有害物質を取り除くパラジウムなど半導体の原材料ガスの主要産出国です。

以前から半導体不足は起こっていましたが、自動車メーカーは減産体制を強いられ、ゲーム機やスマートフォン、医療機器などの生産への影響が加速する可能性があります。


6.金価格の上昇

「有事の金」と言われるように、金価格も上昇しています。

今回のような事態の解決のめどが立たないときは、安全資産である金が買われます。


投資家のとるべき行動


まずは、冷静になることが肝心です。

動揺するあまり、何も考えず保有資産をすぐ売却してしまうのは、もっとも避けるべき行為です。

下落要因が保有資産自体に因るものか、市場に巻き込まれているだけなのかを見極めることが必要です。

冷静に判断したうえで次にとるべき行動は、大きく3つに分かれます。


1.購入する

本来、相場が下落したときに安く買って、高く売ることを目指すのが投資の基本です。

長期投資の視点でみると、機会を逃すことになるかもしれません。

将来の値上がりを期待するのであれば、同じ商品を追加で購入して平均購入価格を下げる方法(=ナンピン買い)もあります。

別の商品を新規購入した場合は、資産の分散効果が高まります。

購入ではありませんが、「iDeCo」のスイッチングのように安定的な金融商品に変更して資産を守るという方法もあります。


2.何もしない

静観するのも一つの方法です。

「つみたてNISA」や「iDeCo」の場合は長期運用を基本とし、定時定額で積立する時間分散効果が高い非課税制度です。

下落時に自動的に数量を多く購入するため、結果的に平均購入単価を抑えることができます。

何もしないという行為に向いている手法かもしれません。


3.売却

解決のめどがたたない状況では、これ以上の損失を抱えたくないという心理がはたらきます。

通常でさえ、「売却」は判断が難しい行為です。

将来の上昇が期待できない場合や損失への不安に耐えられない場合は、売却したほうが良いかもしれません。

ただし、「一般NISA」「つみたてNISA」での損失が発生している場合は、損益通算が使えないことには注意が必要です。


まとめ


過去の地政学リスクによる相場下落時には、株価は事態が発生してから約30営業日(2ヶ月弱)で元の水準を回復することが多くなっています。

インフレ懸念が一段と色濃くなってきたなか、対策として、金、不動産、コモディティ、株式、投資信託などへの投資も検討余地は十分にあります。

株式にいたっては、今回の下落によって予想配当利回り5%以上など魅力的な有名銘柄が増えてきています。

今後、市場では何が起こるか分かりませんが、元来、金融市場は上昇と下落を繰り返すものです。

相場に一喜一憂することなく、自分の投資目的や購入経緯、生活への影響を考えて冷静に判断することが重要です。


※本記事は、一般的な内容であり成果を保証するもではありません。

 実際の投資は、ご自身の判断でお願いします。