前回は相続対策の必要性をご紹介しました。
今回は、相続対策の方法をご紹介します。

相続対策のポイントは3つ
「うちは、相続税を払うほど資産はないから対策しなくても大丈夫ですよ」と言われる方がいます。
「相続対策」と「相続税対策」は違います。
ポイントは大きく3つあります。
考えるのは、1、2、3の順番で。
せっかくの対策が無駄になってしまいますから注意してください。
1.遺産分割(誰に、どれだけ遺すか)
遺言書がない場合、財産の分割は相続人同士(=遺された方)の遺産分割協議(=話し合い)によって決めます。
話し合いがうまくいかなければ争続となる可能性があります。
また、財産目録がなければ、評価や手続きに手間がかかります。
2.流動性資金の準備(生活資金・相続税は払えるか)
相続が発生すると、「葬儀費用」「当面の生活費」「相続税の納税資金」などが必要になります。
亡くなった方の預金口座は凍結され、出金できなくなります。
※「相続預金の払戻し制度」により「預金額×1/3×払戻しする相続人の法定相続分」まで単独で出金可。
3.相続税の軽減(相続税の負担を減らせるか)
基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える財産には、相続税がかかります。
相続税は原則一括現金で、相続人が払うことになります。
相続対策スケジュール
「相続対策はいつから始めたらいいの?」というご質問を受けることがあります。
各家庭の状況によって、時期や順番は異なりますが、ご参考として記載します。
1.生前早めに考えること
①相続人の確認
②資産の棚卸し
③相続税の確認
④生前贈与の準備
2.65歳前後に考えること
①認知症検査をする
②家族信託や後見人制度の検討
③生命保険の見直し
④遺言書の作成
おもな相続対策
対策方法はいくつかありますが、それぞれの効果は違います。
ここでは概略だけ記載します。
1.遺言書エンディングノート
効果:遺産分割(第三者にも)
2.生前贈与
効果:遺産分割(第三者にも)、流動性資金の準備、相続税軽減
3.生命保険
効果:遺産分割、流動性資金の準備、相続税軽減(500万円×法定相続人の数)
4.死亡退職金
効果:遺産分割、流動性資金の準備、相続税軽減(500万円×法定相続人の数)
5.遺言信託
効果:遺産分割、相続サービスの一括
6.不動産
効果:遺産分割、流動性資金の準備、相続税軽減(小規模宅地の特例など)
7.養子縁組
効果:相続税軽減
8.贈与税の控除・特例
効果:相続税軽減(暦年課税110万円、住宅取得等資金の贈与、贈与税の配偶者控除の特例、教育資金の一括贈与など)
9.相続税の控除・特例
効果:相続税軽減(配偶者の税額軽減など)
おひとりさまも要注意
実は、未婚の方やご主人に先立たれた奥さまなどの「おひとりさま」も注意が必要です。
一般的な相続のリスクとは多少異なります。
■おひとりさまの3大リスク
1.相続やお墓のリスク
法定相続人がいない場合、何も対策をしていなければ、財産は国庫に帰属します
※特別縁故者(事実婚や看護でお世話になった人など)が財産分与の申し立てをすることも可能
相続したい人がいる場合や、お墓やお葬式についてできるだけ迷惑をかけたくない場合は、対策が必要です。
▶対策例:公正証書遺言、死後事務委任契約
2.孤独死のリスク
日常生活がままならなくなったときに頼れる人がいない場合は、弁護士やその他サポートの契約を検討しておいた方が無難でしょう。
▶対策例:見守り契約、任意代理契約(財産管理契約)
3.認知症のリスク
認知が発症した場合、自分の望んだサポートが受けられるようにしておきたい場合は、後見人制度を利用して事前に希望を伝えておくこともできます。
▶対策例:任意後見契約
専門家(仕業)の見つけ方
家庭や資産の状況などで、頼むべき専門家は違ってくるのが相続。
1人の専門家では完結しないケースもあります。
なぜなら、各専門家(仕業)には自分の分野を超えてはいけない領域があったり、得意分野に個人差があったりするからです。
依頼するときは、知識や報酬額だけでなく、「親身になってくれるか」「苦言を呈してくれるか」などの人柄も必要でしょう。
■各専門家(仕業)の対応可能なケース例
・弁護士:資産があって訴訟の可能性がある場合
・税理士:相続税の申告が必要な場合
・司法書士:相続税の申告が不要、相続トラブルがない、不動産がある場合
・行政書士:相続税の申告が不要、相続トラブルがない、資産が少ない場合
まとめ
相続対策の方法は、昔と今では変化しています。
その代表的な例が「おひとりさま」の増加や「デジタル終活」の必要性でしょう。
相続対策は、急ぐものではありませんが健康なときにしか考えも行動も進みにくいものです。
「今対策しても税制が変わるから無駄になるのが嫌だ」という方もいらっしゃいます。
ですが、制度や税制は常に変化する以上、今の状態で対策するしか方法がありません。
ご家族やご自身のために、まずは簡単なエンディングノートを記入してみるのもいいかも知れませんね。
※実際の対策は、ご自身の判断でお願いします。
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